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登録修理業者制度について思うこと(番外編)

コラム 最終更新日: 掲載日:

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iCracked、登録修理業者までの道のり(その1)

iCracked、登録修理業者までの道のり(その2)

iCracked、登録修理業者までの道のり(その3)


目次

登録修理業者制度の現状

私たちが登録修理業者になると決めてから1機種目の登録まで9ヶ月、全機種登録まで1年3ヶ月かかりました。
この間に検査機関での試験、測定器等の調達、較正体制や各種システムの構築など、総額で1億円近い費用をかけています。投資の全てが登録修理業者制度のためだけではありませんが、登録修理業者となるにはそれなりに時間とコストがかかることは間違いありません。

しかし制度に登録する前と後で、iCrackedの修理は部材も手順も何も変わっていないのです!

登録修理業者だから修理の品質が良く、登録していない修理業者は品質が悪いというわけではありません。

まず、お客さまが感じる修理品質は登録修理業者制度、つまりは電波法や電気通信事業法で定めている技術基準と同じではありません。制度で見ているのはあくまで電波特性などの「技適マーク」に係る部分だけですが、お客さまが気にされるのはディスプレイの色合いやタッチの反応性、ボタンのクリック感などです。

「総務省から修理品質を認められた」
「修理品質や修理技術で国が定めた高い基準をクリアした」
など、一部の登録業者からは制度登録が品質の証であるような訴求がされていますが、これは制度の実体とは異なります。

総務省が修理業者の品質についてお墨付きを与えることなんてないし、そもそも国が定めた修理品質や修理技術の基準なんてものはありません!

しかし残念なことに登録修理業者制度が誇大広告に使われるだけでなく、ともすると登録していない修理業者が違法呼ばわりされてしまう現状があります。

登録していない業者が修理したiPhoneは違法端末なのか?

登録修理業者となる前も、登録修理業者となった後も、この質問に対する私たちの見解は変わっていません。
「登録修理業者でない第三者が修理したスマートフォンであっても違法端末とはいえない」というものです。
「違法端末かどうか判断できない」と書く方が正しいかもしれません。

iPhoneなどのスマートフォンは「工事設計認証」という制度に基づいて技適マークを受けています。
工事設計認証とは、単に機器が電波法などで定める技術基準を満たしているかどうかだけではなく、製造時の品質管理方法なども含めた「工事設計」に対して認証を与える制度です。

私たちはメーカー(iPhoneならAppleさん)が、どのような工事設計に対して認証を受けているか知りませんので、行っている修理が工事設計に合致しているか、していないかの判断すらできないのです。従って修理したiPhoneは「合法であるとも、違法であるとも判断できない」というグレーな状態になります。

私たちは登録修理業者制度に反対なわけではありません。逆に大変ありがたい制度だと思っています。

この制度のおかげで「iCrackedで修理したiPhoneは技適に合致しているので安心してください!」と胸を張って言えるようになるからです。この制度がなければiCrackedを含めメーカー以外の業者が修理した端末はずっとグレーなままの存在になってしまいます。

登録しない業者があってもいいのではないか?

お客さまのニーズは様々です。「修理して長く使い続けたい」という方もおられる一方で、「割れた画面のまま使うのは嫌だけど、2年縛りが終われば機種変更するからできるだけ安く直したい」という方もおられます。

登録修理業者となるにはそれなりにコストがかかりますので、修理料金もその分は高くする必要があります。
私たちは「全機種について登録修理業者になる」という選択をしましたが(その後iPhone 5は断念しましたが)、一方で「料金の安さを追求するので登録修理業者にはなりません」という業者さんがいてもよいと思います。

当然ですが(実際にできるかどうかはさておき)、電波出力を強くするとか、受信感度をあげるためにアンテナを変更するとかは、登録している、していないに関係なく許されません。しかし電波法や電気通信事業法で本来規制していることの本質を考えれば、割れた画面やバッテリー交換を行うことについて登録修理業者にならないという選択をする業者さんがいてもよいのではないかと。

メーカーさんが工事設計の内容を開示され、行っている修理が工事設計に反していることが判明した場合は、明らかに「技適認証に反した端末」となってしまうのでその機種の修理は行えなくなってしまいますが、そうでないならお客さまがニーズが様々である以上、修理を行う側も様々であるのは自然なことだと思います。

iCracked Store 渋谷のオープン当初には私たちも悩まされましたが、一部の登録業者が登録していない業者を、お客さまに誤解や不安を与えるような表現で批判をしていることには違和感を覚えます。

法律や規則には白黒はっきりつけられない書き方もあるため、私たちと異なる見解があることは理解できます。
しかし、一部の機種で制度登録をしていたとしても、登録していない機種については「非登録業者による修理」となることは明確に書かれています。どうしても登録していない業者を批判したいのであれば、まずは自らが登録していない機種の修理をやめてからでないと筋が通りません。

では業界の問題点は何か?

私たちは登録修理業者になることが必須とは思っていませんが、それは「やるべきことを、きちんとやっている」ということが大前提です。

「1日の研修ですぐに修理ビジネスを開始できます!」
など、非常に安易に加盟店を募集している修理チェーンを見かけます。

私たちが新店をオープンする時に一番苦労するのは充分なiTechを揃えることです。iCrackedではiTechと認定するまでに最低でも2週間のトレーニングを行い、全機種について実技試験を行って合格するまで店舗でお客さまのiPhoneを修理させることはありません。

iTechになってからも様々な角度から修理品質を分析し、お客さま満足度も調査して、私たちが定めた基準に満たない場合は再研修を受け、再試験に合格するまでiTechの資格を停止します。

そこまでしても、まだまだ満足はしておらず、修理品質をあげるためにできることはないか模索しています。
恐らく、修理スタッフのスキルアップというのは多くの業者さんで最も苦労されていることだと思います。

1日研修しただけで、十分な技術と知識が身に付くことは絶対にありません!

もちろん、とりあえずの修理はできるかもしれませんし、修理件数をこなしていくうちに上達していくと思います。しかし、それはお客さまのiPhoneで練習しているのであり、上達するまでには幾つかはお客さまのiPhoneで症状を悪化させているはずです。現にiCracked Storeに「他店で修理をしたのだけど、ほどなくおかしくなった」というお客さまがお見えになることがあります。分解してみると多くの場合には修理ミスが見つかります。

十分な研修をせず、品質管理も何もせずに店だけ増やす業者がいることが一番の問題です!

結果として、きちんと直らなかったり、別の不具合が発生してしまうお客さまを増やしてしまいます。
登録修理業者制度が導入された背景には、このような状況に歯止めをかける意図もあったのだと思います。それなりにハードルが高い制度ですので、いいかげんな管理を行っている業者では登録は難しいでしょうから一定の効果はあると思います。

しかし各機種を登録するにはコストもかかります。私たちは将来的に100店舗、200店舗と増やしていきたいと思っているからこそ投資を決断できましたが、少ない店舗数で修理をされている業者さんには難しいでしょう。ここが現行制度でのいちばんの課題だと感じています。

iCracked Japanでは、今後発売される機種も含め可能なものは全て登録していく考えでいますが、制度登録の有無に係らず私たちを含めた第三者修理を行っている各社がきちんと誠実に修理を行っていくことで、お客さまから「メーカー修理でなくても大丈夫!」と安心していただける存在になることがなにより重要です。

そして、iCrackedも数多い競合他社に負けないよう、修理品質を高める努力を続けていきたいと考えています。

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