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iCracked、登録修理業者までの道のり(その1)

コラム 最終更新日: 掲載日:
目次

これまでiCracked Japanは、登録修理業者制度へのiPhone各機種の登録を進めてきましたが、当社で可能な機種について全て登録が完了しましたので、当社が制度へ登録するに至った経緯についてご紹介します。

事の始まり

2015年夏、米国を中心にiPhone修理を行ってきたiCrackedが日本に進出することを決定しました。

米国ではスマートフォンが壊れてしまったお客様と、修理人であるiTechをマッチングし、iTechがお客様の指定した場所へ訪問して修理を行うスタイルをとっていますが、日本進出にあたっては店舗展開することにしました。これは、日本において訪問修理というスタイルが支持されるかに不安があったからです。

2015年内に第一号店をオープンすべく物件を探し、渋谷宇田川町の3階建てのビルに決定しました。

  • 「ベースは白、部分的にiCrackedのロゴカラーのブルーを使った明るい雰囲気にしよう」
  • 「シリコンバレーのオフィスの壁にあった文字並べてロゴにしてるデザインいいね」
  • 「3階はエグゼクティブフロアって感じの豪華な内装がいいんじゃない」

みなが思いのままに口にした意見が徐々にまとまり、デザイン案ができあがっていきました。

US本社から技術部門のトップが来日。約2週間、朝から晩まで続くトレーニングを経て日本初のiTechが誕生しました。
店舗工事も概ね終わり、役所への手続きも済ませ、オープン日は12月4日に決定。

店舗名は「iCracked Store 渋谷」

記念すべき日本第一号店のオープンにあたり記者発表を行うことにし、US本社から創業者や各部門のトップも来日。
前夜には日米双方のメンバーが集まり都内のレストランで前祝い。成功を願うメンバーの顔は笑顔にあふれ、大いに会話が弾む楽しい夜となりました。この時点では、まさかオープン早々に嵐に見舞われるとは誰も思っていませんでした。

「登録修理業者制度」という名の嵐に・・・

1つ目の誤算

日本進出を決めたタイミングで登録修理業者制度の存在は知っていました。
公開情報には目を通し、よくわからない点は総務省に問い合せ、通信機器の検査機関にも相談しました。

その結果、私たちが出した判断は

  • 「制度に登録せず修理を行っても違法ではない」
  • 「制度がもっと普及してくれば登録するが、現時点では見送る」

というものでした。

当時、iPhone修理を行っていたのは1500店ほどありましたが、制度に登録していた業者は2社、そのうち店舗を構えて修理を行っているのは1社だけでした。しかも、その1社も登録しているのはiPhone 6の1機種のみという状況で、とても制度が一般的なものだとは思えなかったのです。

しかし、すぐにこの判断を後悔することになります。

iCracked Store 渋谷オープンの翌朝、目に飛び込んできたWEB記事のタイトルを見て愕然としました。

電波法違反になる恐れも―日本に上陸したスマホ修理業者「iCracked」の問題点」

要約すると

  • メーカーではない業者が修理した端末が技適に合致しているかは試験をしなければわからない。登録修理業者でないiCrackedが修理した端末は「法律に違反しているか、していないかわからない宙ぶらりんの状態」である。
  • 万が一、技適に合致していない端末を利用すると、ユーザーが電波法違反に問われる可能性もある。

という内容でした。

例えば、電波特性に影響を与えるとは考えにくい画面交換を行った場合、それを私たちが「電波特性には影響しないので法律には違反しません」と言い切ってよいのかどうか?
私たちは言えると判断したのですが、そんなことは試験しないとわからないだろうという指摘です。

そうかもしれません。私たちの判断が甘かったのかなと思います。

この記事が拡散される形でiCrackedのネガティブなイメージが拡がりました。特に積極的に拡散していたのはiPhone 6の登録をしていた修理店さんでした(笑)

まあ、私たちの判断が甘かったこともあるので記事の拡散はやむを得ないのですが、一番頭を悩ませたのはお客さまへ直接ご迷惑をおかけしてしまうケースが発生したことです。iCracked Storeでは対面カウンターでお客さまの目の前で修理を行います。一般の方にとって分解されたiPhoneの内部を見る機会はあまりありませんので、なかにはiCrackedでの体験をツイートされる方もおられました。

すると「iCrackedのせいで犯罪者にされちゃったんだ、ご愁傷様」などとコメントがついてリツイートされるのです。誰がしていたかは書きませんが、これには参りました。お客様には平身低頭お詫びするしかありません。

こんな感じで、iCracked Store 渋谷はオープン早々に逆風にさらされることとなりました。

新たな意思決定

私たちは改めて電波法や電気通信事業法、登録修理業者制度規則を読み直しました。
やはり「自分たちの修理は違法ではない」と判断しましたが、一方で「合法である」と言い切ることはできないということも確認しました。これは記事に書かれている通りですね。

一番大事なことは、iCrackedがお客様に信頼していただける存在になることです。

実はスマートフォンの修理というのは手抜きをすることも可能です。影響の少ない部材の付け替えを省略する、圧着シールを貼らない、など手抜きをしても外からは判別できないからです。実際に他店で修理した端末を分解してみると、あるべき部材がないということをよく目にします。

iCrackedでは、「手間がかかっても可能な限り本来の状態に近づける」ということを徹底してきました。それなのに私たちが修理した端末が合法か違法か曖昧という状態はあるべき姿ではないという意見でまとまりました。

私たちは2つの意思決定をしました。

1.修理する全機種を登録する

私たちが登録修理業者になると決めたのは、お客様に「修理端末は技適に合致しているので安心してください」とお伝えしたいからです。1機種登録しただけで「自分たちは登録修理業者です」と全ての機種が対象であるかのように振る舞うことはしたくありません。やるからには全機種登録しようと決めました。

ただし登録手続きがどのくらい大変なのか見当もつかなかったので、まずは1機種の登録を進め、必要な手続きや準備すべきものをきちんと把握してから残りの機種を登録することにしました。

2.登録完了まで出店はしない

実は、この時点で既に2店舗目以降の出店に向けて物件を抑えていました。また、私たちと一緒にiCracked事業をやりたいというパートナーの法人との交渉も進めていました。

しかし渋谷で一部のお客様にご迷惑をおかけしてしまったような事態は避けたいので、1機種目の登録が完了するまで出店を延期することにしました。確保していた物件は違約金を支払って契約を解除し、パートナーさんにもお詫びしてお待ちいただくことにしました。

「春までに1機種目の登録を!」を掛け声に、社内外から人員を集め専任チームを立ち上げました。
新たにiCrackedに参加したメンバーには、通信キャリアのサービス企画責任者、携帯電話メーカーの技術トップ、大手修理業者の管理部門責任者なども含まれていました。

この時、2店舗目の出店が9ヶ月も先になるとは誰も予想していませんでした。


iCracked、登録修理業者までの道のり(その2)


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