最近、日本でもGoogle HomeやAmazon Echoなどのスマートスピーカーが話題になってきましたが、アメリカに来ると「だいぶ普及してきたな」と感じます。スマートスピーカー単体だけではなく、スマートスピーカーを介してIoT家電を操作する環境も徐々に整ってきているようです。
米iCrackedはスマートホンの出張修理を行っていますが、IoT関連企業から顧客宅で機器の設置や設定をやってほしいという依頼もあったりします。難しすぎて自分で設定できない人も少なくないようです。
日本ではスマートスピーカーをはじめとしたIoTデバイスの普及が米国と比べて遅れています。大きな要因としては日本語の音声認識の精度が低いことが挙げられるでしょうが、技術的な課題は時間が解決してくれるはずです。
ただ、日本人の気質にも普及しにくい要因があるのではと勝手に思っています。私はスピーカーに話しかけるのが恥ずかしいですし、私の周りでスマートホンに向かって「Hey Siri」とか「OK Google」とか話しかけてる人もいません(笑)
とはいえ、大きな流れとしては日本でもIoTデバイスが徐々に普及していくのは間違いでしょうし、iCrackedの日本でのビジネスにも大いに関係してくるのだと思います。
そんななかiCrackedの本社からほど近いサンタクララで「Internet of Things World」という展示会が開催されていました。シリコンバレーで行われるIoTの展示会がどんなものか気になり、訪米の日程を延ばして覗いてきました。
シリコンバレーは地名ではありません
カリフォルニア州サンフランシスコ市の南部、サンフランシスコ湾沿いの複数都市、具体的には北はサンマテオ(San Mateo)から南はサンノゼ(San Jose)までのエリアの通称です。もともとインテルなど複数の半導体メーカーがこの地域にあったため、半導体の主原料である「シリコン」からそう呼ばれるようになりました。(以上、Wikipediaより)
現在、シリコンバレーにはAppleやGoogle、Facebookなど多くのテック企業の雄が本拠地を構えており、また数多くのIT系のスタートアップが生まれています。投資家、ベンチャーキャピタル、アクセラレーターなど、ITに特化した巨大なエコシステムができあがっています。
シリコンバレーという言葉はこのエコシステムとセットで使うことが多く、単に地域を表す言葉としてはあまり耳にしません。
こちらに住んでいるアメリカ人は「ベイエリア」と言うことが多いですね。「次はいつベイエリアに来るの?」という感じです。
畏れ多くもテック企業の巨人のロゴと並べてみました。☆が展示会の開催されたサンタクララです。(地図データ:Google)
iCrackedはシリコンバレーのなかでは北寄りのレッドウッドシティー(Redwood City)にあります。近くにはデータベースソフト最大手OracleのHQもあります。iCrackedから車で10分くらい走るとメンローパーク(Menlo Park)にFacebook、さらに南下を続けるとマウンテンビュー(Mountain View)にはGoogle、クパチーノ(Cupertino)にはAppleのHQがあります。
IoT WorldにIoTデバイスはなかった!
「Internet of Things World」はシリコンバレーの中では南寄りのサンタクララにある「Santa Clara Convention Center」で開催されました。東京ビッグサイトをコンパクトにしたような建物です。
Iot Worldにはスマートスピーカーで火花を散らしてるGoogleとAmazonも出展していました。
また、過去にはGoogleはスマート家電の「nest」を、Amazonはネットワークカメラの「Blink」を買収しています。当然、それらのIoTデバイスが展示されていると思っていたのですが、、、
展示会にはGoogle HomeもAmazon EchoもnestもBlinkもありません!
Googleは「Google Cloud」、Amazonは「AWS(Amazon Web Service)」と、両者ともクラウドサービスとしての出展でした。
ただ単に「私たちのクラウドサーバやストレージを使ってください」と訴求しているのではありません。
多数のIoTデバイスを管理し、デバイスから送られてくるデータの処理や分析などを行う仕組みをクラウド上で提供しているのです。また、IoTデバイスが簡単にクラウド側のシステムと接続できるよう、SDKとしてデバイスに組み込めるソフトウェア群を提供したりもしています。
Googleではさらに「Android things」としてIoTデバイスに特化したOSや開発環境なども提供しています。
つまりGoogleもAmazonも「IoTのプラットフォーム」としてポジションを築くことを狙っているのです。
現在、スマートフォンのプラットフォームはGoogle(Android)とApple(iPhone)の2社がほぼ独占していますが、そのことが2社に直接的または間接的にとてつもない経済効果をもたらしています。
そして既に、これから普及するであろうIoTの覇者となるべく激しいプラットフォーム競争が始まっているのです。
今回のIoT Worldに出展していた企業の多くは、GoogleやAmazon同様にプラットフォーマーを目指していたり、自社技術が業界のデファクトスタンダードとなることを目指しB2Bの訴求をしていました。
自社のプラットフォームや技術が採用されるようメーカーやサービス事業者に便利な仕組みを安価に、場合によっては無料で提供しています。GoogleやAmazonのスマートスピーカーの販売も、スマート家電メーカーの買収も、全てはIoTのプラットフォームへつながっているのです。
AWSのブースの壁に落書き風に書かれていた文章は、この想いをストレートに語っていました!
Millions of devices. (数百万の機器)
Billions of messages. (数十億のメッセージ)
One cloud. (一つのクラウド)